自分に酔い過ぎていませんか?
「Aさんよりも自分のほうが才能があるのに…」
「ナゼ、自分よりも仕事ができないBが出世したんだろう」
…口には出さずとも、このような不満を抱えて
日々、悶々としている方も多いのではないでしょうか。
「自分はこんなに実力があるのに、どうして認められないんだろう」
そう思った時は、自分を顧みるチャンス!
自分自身と、「たいした実力がないのに認められたアイツ」を
よ〜く比較してみてください。
どうでしょうか、何か気づきますか?
業績や容姿といった「目に見えやすいもの」だけに心を奪われているようでは
その違いには気づくことができないでしょう。
また、それに気づけないようでは、まだまだということです。
その「違い」とは…「慎み」であると老子は言っています。
自分がでしゃばり過ぎていることに気づいてますか?
「君子盛コ容貌若愚」
(君子は盛徳ありて容貌愚なるが如し)
真に有能な人間(=君子)ほど慎み深く、
一見愚か者かと思うような顔つきをしている。
…要するに、「慎み」という言葉も知らずに自分の能力をひけらかしているのは
ホンモノではない。本当の意味で「有能な人」とは言えないんだよ。
という意味でしょう。
確かに、どんなにスゴイ才能に恵まれていても、
それを鼻に掛けてひけらかす人って、周りからの評価も低いですよね(苦笑)
うらみや周りの反発も買いやすいですし…
実力はどうあれ、「あの人は人間性で損をしているなあ」って思う人、
みなさんの周りにもいませんか?
一方、能力はそこそこでも、慎み深く、
決してでしゃばらない人もいますよね。
会社では、「あ〜、目立たないけど、なにげに仕事はできるよね」
という存在の人です。
老子の基準で言えば、このような人こそ、真の「デキる人」。
すばらしい能力に恵まれていても、「慎み」を忘れてはいけないのです。
あの孔子も…
実は、「君子…」という老子の言葉は、
その直前にある次の言葉に続いているもの。
老子思想の対極とも言える儒家思想の大家、
孔子に対して教えさとすような形で残した言葉だとされています。
「良賈深蔵若虚」(史記)
直訳すると…、
「本当に賢い商人というのは、良い商品を持っていても、
それを店先に並べるようなことはせず、奥深くしまっておくものだ」
つまり、「能力をひけらかすなよ。慎みを忘れるなよ」という戒めですね。
当時の孔子はまだ若く、才能にも恵まれていたためにイケイケの状態。
そんな孔子が老子の元を訪ねた時に、このような言葉で戒められた…
真偽のほどは定かではありませんが、そのように伝えられています。
店頭の一番目立つ位置にレイアウトされている洋服を真っ先に手に取って
「安い!」だの「これ、今年のマストバイだよね〜」だの言っているようでは
ホンモノのオシャレとは言えません。
自らのファッションを世間の流行にゆだねているに過ぎないからです。
しかし、中には、「店員さんに聞かないと出してくれない一着」を求めて
わざわざ遠方のショップまで脚を運ぶ人もいますよね。
奧深くしまってあるものの価値が、分かる人にはちゃんとわかる。
店主や作り手のこだわりが「分かる人」こそ、ホンモノのオシャレさんと言えるのです。
才能もそれと同じ。
安易に店頭に並べて安売りしないことです!
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