老子の言葉をわかりやすくお届けします

キレやすい若者たちに…

老若男女、幅広い世代に読者の多い『老子』ですが、
特に老子の思想に親しんでほしいのが、「キレやすい」と言われる若者世代。
最近の若者世代が、かつての若者に比べて本当に「キレやすい」のかどうか
…その真偽はともかくとして、多少なりとも
「自分って、わりとキレやすいなあ」と感じている方は、ぜひ!

 

キレるということは、何かしら自分の中にある
「かくあるべし」という基準と現実の間にギャップが生じた時、
自分の感情を抑えられなくなるということですよね。
要するに、そのギャップが許せない、容認できないわけです。
だから、現実の出来事や他人に対して腹が立つ。ブチッとキレてしまう…。

 

そんな時は、
「怨みには徳を以て報いなさい」
「憎悪の念には慈愛の心を以て許してあげなさい」
…という老子の教えを思い出すと良いでしょう。

 

キレやすい世代に足りないのは、「慈悲の念」です。
相手を受け止めて、まずはそれを認める。
そして、まるで赤子をあやす時のように、
「ああ、仕方がないなあ。よしよし」と、
相手をいつくしんだり、憐れんだり、同情したりできるようになれば、
イライラすることもキレることもなくなるハズです。

日々、戦う若者たちへ

老子思想の中核をなす考え方に、「戦わない」=“不争”があります。

 

戦って、仮に勝ったとしても、殺し合いをするわけですから
当然のことながら味方にも犠牲は出るわけですよね。
それに、力で勝利を奪い取ったとしても
その反動は後になって必ず自分に返ってくるものだ、と老子は言うのです。

 

それならば、最初から戦わないほうがいい!
確かに、お互いにボロボロになるのが分かっているのに血を流し合うのは
客観的に観ると非常にバカげたことですよね。

 

試験や仕事のノルマ、
学校や会社の人間関係で日々「戦い」の中に身を置いている…
そんな世代の方には、ぜひ覚えていて欲しい!
「百戦百勝よりも大事なことがある」ということを。

 

もちろん、長い人生には、どうしても戦わざるを得ない場面が出てくるでしょう。
それでも、最後の最後まで、「戦わない道」を探る努力は大事にしたいものです。
貴重なエネルギーと時間を割いて、ムダに傷つけあうのなら、
それよりももっと他にやるべき大切なことがあるのでは!?

第二の人生を歩み始めた方々へ

最後に…。最も老子思想に触れていただきたい世代。
それは、定年退職を迎えて第二の人生を歩み始めた方々です。

 

まだまだ、ライフ・ワークバランスがいびつで
「仕事一筋」の人生を送る人が多い日本。
定年を迎え、それまでの役職も失い、
「ただの○○さん」に戻ってしまった方々の中には、
生きる意味を見失って戸惑う方も多いようです。

 

老子の思想は、そんなネガティブループからきっと救い出してくれるハズ!
「道」(Tao)、すなわち「万物の根源」に従い、
ただ“あるがまま”を受け入れて楽しめるようになれば、
生きることはずっとラクになります。

 

会社を辞めて自分を見失うということは、
「△△社の○○部長」という立場に固執している証拠ですよね?
あるがままの「○○さん」という自分自身を、認めていない。
受け入れられない状態になっているわけです。

 

しかし、人は誰でも、自然界から命を受けた、ただの人間。
それ以下でもそれ以上でもありません。
天は、えこひいきしたりはしませんので、大自然の前では
例外なく万物は平等。
誰も“特別扱い”なんてされないのです。

 

ですから、ずっと家で専業主婦をやってきた奥様も、
定年退職で会社を辞めたダンナ様も、立場は一緒。
それを受け入れて、上流から下流にむかって流れていく水のようにしなやかに
ありのままに生きていくことができれば、
第二の人生はもっと自由に、もっと開放的に楽しめるでしょう。