老子の言葉をわかりやすくお届けします

リスクを避ける勇気を持つこと

人生、「リスクを冒してでも前へ進むべきか?」
「はたまた、“万が一”を考慮してこのまま退くべきか」
…厳しい選択に迫られる場面は何度もやってくると思います。
そんな時、老子のこの言葉を思い出すと良いでしょう。

 

「勇於敢則殺、勇於不敢則活」
(敢えてするに勇なれば則ち殺され、敢えてせざるに勇なれば則ち活く)

 

思い切った勇気ある行動を恐れない者は我が身を滅ぼし、
大胆な行動を恐れる者は我が身を生かす。
…この言葉を一言で表すと、
「必ずしも思い切った選択ができる人が成功できるわけではない」
ということ。
「リスクを恐れて後退することもまた、一つの勇気だ」
…とも取れますよね。

 

「自分は臆病者だから思い切った大きな決断ができない」
「デカイことをやれるだけの勇気がない」
…と自分を過小評価してしまいがちな方にとっては、
なんとも勇気づけられる言葉ではないでしょうか。

 

人生、がむしゃらに前に進むことだけが正解ではありません。
時には、後退する勇気も必要。
むしろ、あえて後退することで、
ゴールへの近道が見えてくることだってあり得るのですから。

ただ勇敢なだけではリーダーの資格ナシ!

リーダーたる者、その肩には多くの人の命と生活がかかっています。
些細なこと一つ決めるにしても、そのことを忘れてはいけません。

 

血気さかんなリーダーが、リスクを考慮せずに突き進んだことで
大勢の命が、生活が失われてしまった…という例は、
世界中の過去の歴史を振り返ってみても決して珍しいものではありません。
考え方によっては、臆病なくらいの“慎重さ”もまた、
リーダーが備えておくべき資質の一つなのかもしれませんね。

 

ともすれば、リーダー=周りを牽引していく指導力に優れた人物、
周囲を引き付けるカリスマ性のある人物が想定されがちですが、
本当に大切なのは、一歩後退して客観亭に状況を見極められる
「冷静さ」なのかもしれません。

 

老子が生まれた中国では、このようなリーダー論が
古くから説かれていたようですね。
勇敢なだけでは真のリーダーとは言えない…
現代の政治家たちにもぜひ心に刻んでいただきたい教えです。

 

素直に大きな道を行くべし

「時には、来た道を後退する勇気を持つことも大事」
と説いた老子はまた、“道”に関して次のような言葉も残しています。

 

「大道甚夷、而民好径」
(大道は甚だ夷らかなり、而も民は径を好む)

 

大きな道は非常に平坦で歩きやすいにも関わらず、
人民は近道の小さな道を行きたがるものだ。
…老子に言わせれば、
「素直に大きな道をまっすぐ進んで行くのが一番の近道。
それなのに、なぜこそこそと脇道へ行きたがるのか?」

 

確かに、私たちには多かれ少なかれ、
「近道をして他の人よりも速く目的地についてやれ!」
というズル賢い気持ちがありますよね。
実は、一番大きな道をストレートに進んで行くのが確実だったりするのですが…。

 

これを人生の“道”になぞらえてみると、
「急がば回れ」という言葉もあるように、大きな道をただ素直に
まっすぐ進むことを軽んじている風潮があるように感じられます。

 

しかし、人生は、後退を余儀なくされることもあれば
主要道が工事中で迂回路を通らざるを得ないこともあります。
老子の言葉だけを100%鵜呑みにして生きるのではなく、
その時々で「どの道を、どう進むべきか」自分の頭で考え
自分の価値基準で判断して進んでいくことが大切!

 

そうすることによって腹が決まり、
どんな結果になったとしてもそれは誰のせいでもなく
「自分自身の責任」として受け入れられるようになるハズです。