老子の言葉をわかりやすくお届けします

老子の得意技は“逆説”?

弱いよりは強いほうが良い。
小さいよりは大きいほうが良い。
暗いよりは明るいほうが良い。
貧乏よりは豊かなほうが良い。
独身よりは既婚が良い。
フリーターよりは正社員が良い。

 

…世間一般に受け入れられているその考え方を、
ただ鵜呑みにして生きてはいませんか?

 

世間では当たり前と考えられている“常識”、
スタンダードを徹底的に疑ってみるというのが、老子の思想の特徴。
老子によれば、
世間で当たり前とされている考え方の反対側にこそ“真理”があるのだとか。
だからこそ、老子の言葉には逆説的なものが多いんですね。

 

例えば…

 

「学を絶てば憂い無し」
学ぶことによって、かえって苦悩が深くなる。

 

「曲なれば則ち全し、枉がれば則ち直し」
まっすぐな木よりも、曲がっている木こそ、その天寿を全うできる。

 

「道は常に無為にして、而も為さざるは無し」
道は常に何事もなさないが、それでいて全てを成し遂げている。

 

「知りて知らずとするは上なり」
知っていても知らないとするのが最上である。

 

…いずれも、老子ならではの“逆説”的な表現で
この世界の真実を突いています。

 

常識をそのまま受け入れるな!

「正言若反」
(正言は反するが若し)

 

本当に正しい言葉は普通とは反対に聞こえるものだ。
…老子の教えの特徴をズバリ一言で言い表したような名言ですよね。
老子が、「逆説の名人」と評される所以です。

 

人々が当たり前のように信じている“常識”が、
私たちにとって本当に必要な真実であるとは限りません。

なんとなく違和感を覚えた時は、その常識を疑ってみることも必要です。
実は、「当たり前」と思われていたその常識こそが、
人を生きづらく、苦しくさせている元凶なのかもしれないのです。

 

老子は、ちょっと皮肉交じりの逆説的な表現で
私たちにこの世の“真実”を気付かせてくれます。
「こうあるべき」という世間的な価値観や常識にがんじがらめにされて
息苦しさを感じた時は、『老子』を紐解いてみると良いでしょう。
自分で自分自身を苦しめているに過ぎないことに気付かされると思います。

老子が気付かせてくれる真実

正論をふりかざすだけでは、人の心はつかめません。
美辞麗句を並べても、そこに真実はありません。
むしろ、逆説こそが、本当の真実を言い表していたりするもの。
老子が残した数々の名言は、まさにそれを痛感させてくれます。

 

『老子』 の中で繰り返し説かれているのが、
「柔弱なるものは剛強なるものに勝つ」という教え。
柔弱なる存在である“水”が、固い石を穿つことができるように、
一般的には「弱者」と言われている立場の人々こそ、
しなやかな知恵を生かすことによって
“強い”者に勝つことができるというのです。
老子の代表的な逆説の中でも、特に有名な名言ですよね^^

 

このように、自然の世界には、
人間が考える“弱”と“強”が入れ替わっている例が数多くあります。

 

すなわち、人の世の常識などあってないようなもの。
外野の雑音に惑わされることなく、自分が信じる“真実”を見失わなければ
人生をより豊かに、心穏やかに過ごすことができるでしょう。