老子の言葉をわかりやすくお届けします

物事は“最初”が肝心!

「先手必勝!」とはよく言われますが、老子もまた、
「大きな成功をつかむためには最初の取りかかりが大事だ」
と教えていました。

 

どんな物事にも言えることですが、
最初の一歩を踏み出すのは非常に難しいことですし、
「まあ、最初だからこんなものか」とう甘えが出てしまいがちです。

 

しかし、最初の取り掛かりを可能な限り丁寧に行うことで
結果的に難事を避けることにもつながる…と老子は言うのです。

 

例えば、縫い物一つとってみても、
縫い始めの部分をないがしろにしてしまうと、ほつれやほころびが生じやすく
「最初から作り直し!?」なんて事態になったりします。

 

会社の資料も、作り始めがその資料全体の方向性や
資料が持つ説得力を左右すると言っても過言ではないでしょう。

 

「後で修正すれば良いや」と思いがちですし、
実際に後でいくらでも修正は可能なわけですが…
それでもやはり、取り掛かりの時のモチベーションや
ベースなる書式などは仕上がりまで大なり小なり影響を及ぼすものです。

 

後になってから取り返しのきかない難事が発生するのを避ける意味でも、
取り掛かりの部分、スタートは大事に・慎重にいきたいものですね。

小さなことを甘くみるな

わかっちゃいるけど、ついつい油断してしまう。
…老子の言葉は、人間のそんな弱い部分を
コチョコチョッとくすぐるように刺激してきます。
その絶妙な“くずぐったさ”が、クセになるのかもしれませんね(笑)。

 

「何事も、小さなことを甘くみるなよ」
と戒めた次の言葉も、ドキッとさせられる一言。

 

「天下難事、必作於易、天下大事、必作於細」
(天下の難事は必ず易きよりおこり、
天下の大事は必ず細より作る。)

 

どんなに困難なことも易しいことから起こり、
どんなに大きな問題も些細なことから始まるものだ。

 

これ、企業のリスク管理などでよく使われる言葉ですよね。
小さなことを甘くみていると、
やがて取り返しのつかない難事が発生してにっちもさっちもいかなくなる…。

 

頭ではわかっていても、とりたてて大きな問題が起こっていない時には
人はどうしても油断して無防備になりがちなもの。
老子の教えを忠実に実行するのはなかなか難しいかもしれません。

 

しかし、何事も易しい(簡単な)うちにそれについてよく熟慮し、
「万が一」を想定して対策を練っておけば
何か難事が生じても冷静に対処できますし、被害の拡大も防げるものです。
個人でも企業でも、国家レベルでも…
何事も、些細なちょっとした変化を見過ごさないことですね!

大きな成功を焦らない!

深刻な難事がちょっとした些細な出来事から生ずるように、
大きな成功もまた、小さなことの積み重ねで達成されます。

 

老子は、「天下の大事は必ず細より作る」という言葉に
「大きな成功をつかみたいなら、小さな努力をないがしろにしないことだ」
というメッセージも込めていたようです。

 

車一台を例に見てみても、
スピード感あふれる走行を実現するためには“万”単位での部品数が必要です。
そのどれか一つが欠けても、製品としては不完全。
素人目には「ただのネジでしょ?」と思えるような部品でも、
その一つ一つに高い技術力が生かされており、
容易には“替え”がきかないものなのです。

 

実際、東日本大震災の時は、多くの部品工場が被災し
何日にも渡って日本全体の自動車生産がストップしてしまいましたよね。

 

たかが一部品、されど一部品です。
「ネジ一本くらい…」と甘く見ていると、イザという時に痛い目を見るぞ。

 

大きなことを成し遂げようと思うなら、簡単な仕事だからといってなめてかかったり
「このくらい大丈夫だろう」などと手を抜いたりしてはいけないよ。

 

…老子のこのような教えは、
現代の私たちにもそのまま生かすことができるもの。

 

老子が時代を超えて読み継がれる理由も、納得できますね!