老子の言葉をわかりやすくお届けします

パニックにならないためには…

色んなことが立て続けに起こった時、
ともすれば人はパニック状態に陥ってしまいますよね。
「あ〜ヤバい、マズい、どうしよう!?」

 

…そんな時は、老子の次の言葉をじっくり読み、
深呼吸して気持ちを落ち着けてみましょう。
自分が取り立てて特別な対処をしようがしまいが、物事はなるようになるサ!
そんな風に、(言い方は悪いですが)開きなおって覚悟が決まることでしょう。

 

「致虚極、守靜篤。萬物並作、吾以觀復。
夫物芸芸、各復歸其根。歸根曰靜、是謂復命。
復命曰常、知常曰明、不知常、妄作凶。
知常容。容乃公。公乃王。王乃天。天乃道。道乃久。沒身不殆。」

 

虚を致すこと極まり、静を守ること篤ければ
萬物並び作るも、 吾以て其の復るを観る。   
夫れ物の芸芸たるも、 各々其の根に復帰す。 
根に帰るを「静」と曰ひ、是を「命に復る」と謂ふ。
命に復れるを「常」と曰ひ、常を知るを「明」と曰ふ。
常を知らずして妄に作せば凶。
常を知れば容、容なれば乃ち公、公なれば乃ち王、
王なれば乃ち天、天なれば乃ち道、道なれば乃ち久し、
身ミを没するまで殆からず。

 

心を虚しくすることを極め尽くし、
心の静けさをしっかり保つことができているので、
あらゆる物がいっせいに起こったとしても、
私には、それぞれが根源へ復って行くのだとわかっている。
万物は様々に動くけれど、
それぞれがまたその根源に帰っていくのである。
根源に帰った状態を「静」といい、
これは天命(本来の在り方)に還ることであり、
天命に還っているのを「常」(永遠に不滅なこと)という。
「常」を知るのを「明」(絶対的智恵)という。
「常」を知らないでむやみにことを起こせば凶事となる。
「常」を知っていれば寛容であり得る。
寛容であれば、公平無私であり、
公平無私であれば、王者の徳を備えた者であり、
王者の徳を備えていれば、天の摂理にかなっている。 
天の摂理にかなっておれば、「道」(万物の根源)に達しているのであり、

道に達しておれば、永遠に不滅であり、 
生涯、危険に遭遇することはない。

「虚」ってどんな境地?

何があろうと、まずは自分の心を「虚」にして見守りなさい。
…老子はそのように教えていたわけですが…。
その「虚」とはどのような状態なのでしょうか。
国語辞典で「虚」の意味を調べてみると次のように解説されています。

 

1 備えのないこと。油断。すき。「敵の―に付け入る」
2 事実でないこと。うそ。いつわり。「―と実が入りまじる」⇔実(じつ)。
3 中身・実体がないこと。むなしいこと。うつろ。から。
4 内部が空になっているところ。うつろ。ほら。空洞。「古木の―」

 

老子の言葉にある「虚」は、この場合は「3」または「4」の意味に該当するでしょう。
つまり、うつろな状態。
言い換えれば、心を空っぽにするということです。

 

私たちは普段、何も考えていないつもりでも
その頭の中には実に様々な“雑念”がうごめいています。
だからこそ、大事な局面で判断を間違ったり、
物事の動きを読み違えたりしてしまうのだと言っても過言ではないでしょう。

 

パニックに陥りそうな時は、まずは心を「虚」にすること!
その物事に対して、できるだけ個人的な“感想”を持たないように、
(これがまた、非常に難しいのですが…)
ただあるがままを静観しましょう。
そうすれば、色んな出来事が順番に並ぶように生じては、
自然と消えて行くことが分かってくるハズ。

 

一つ新しいことが起こると、古い一つが消えていく…
このような現象、みなさんも実感したことがあるのでは?
世間を騒がせる話題も似たようなところがありますからね(笑)

慌てないこと、比較しないこと

「心を虚(からっぽ)にする」
…できそうでいて、非常に難しいことです。
どうすればそのような境地に至ることができるのか。

 

老子の言葉から(ちょっと強引に)解釈すれば…

 

☆慌てずに今の状況を静観しましょう

どんなことでも、冷静に、客観的に状況を分析できる人は強い!
物事の動向や人の動きを観察していれば、その傾向が読めてくるハズ。
その法則なりを理解した上で、自分が次にどうすれば良いのか
慌てず落ち着いて判断しましょう。

 

☆「全ては還るべきところに還る」と静観しましょう

自分にとって辛い状況であればあるほど、
「この苦しみが永遠に続くのではないか?」
「このまま、楽にはなれないのではないか?」
…と、絶望的な気持ちになるかもしれません。

 

しかし、老子が言うように、全ての物事は還るべきところへ戻っていくもの。
それはまるで、草木が土に還り、それがまた草木を育てるように。
つまり、自然界の法則は全て人間社会の出来事にも当てはまるものなのです。