老子の言葉をわかりやすくお届けします

教育の本質は…

自分の子供を、他人の子供を、会社の部下を…
誰でも、いつかは誰かを「教育しなければいけない」という場面に
直面することになるでしょう。

 

「人間は、教えられないと人間にならない動物」
…このような言葉がある通り、人間にとって「教育」は重要なもの。
食べることも教えられなければできないわけですから、
ある意味では食事以上に大事なことなのかもしれません。

 

特に日本では、「7歳になるまで、子どもは神の子である」
という言い伝えがあります。
すなわち、7歳までは神に授けられた霊力を持っているものの、
それ以降はその力が弱まってしまうので、周りの大人たちが
「教育」によって新しい力を授けてあげなければいけないという考え方です。

 

さて、その「教育」において大事なこと。
それは、常に「技術を授けるのだ」という意識を強く持つことです。
「物」=正解を最初から与えてしまうのでは、
その人は自分で考える力が身に付きません。
ということは、すなわち、「応用力がつかない」ということです。
「考える力」があれば、他の局面においても
工夫を重ねて新しい正解を見出すことができます。

 

なんでもかんでもすぐに手に入る便利な生活は、
私たち人間から「考える技術」を奪ってしまったと言っても過言ではありません。
ですから、誰かに何かを教える人の役割は超・重要!
考えだす、知恵を生み出すという技術を授けられる人こそ、
「良い先生」と言えるでしょう。

 

老子の教えの中にも、「物より技術を重んじなさい」
戒めた言葉があります。

大事なのは「技術」を授けること

「授人以魚 不如授人以魚」
(人に授けるに魚を以ってするは、漁を以ってするに如かず)

 

貧しい人に魚を与えれば、その人は、その一日は食料に困らないだろう。
しかし、魚の捕り方(=技術)を教えれば、その人は一生食うに困らない。

 

…これはつまり、
「人が生きるために本当に必要なのは、物ではなく技術である」
ということですよね。
まるで、老子が、なんでもかんでもネットに頼る現代社会を
予見していたかのような言葉です。

 

効率重視、スピード重視の現代社会においては、
他者から「考える時間」を奪ってしまう場面も多いもの。
例えば会社でも、新人に対して
「そんなことでなにグズグズやってんだ!
その資料なら、○○さんが作ったフォーマットがあるだろ」
「そのくらい、ネットでチャチャっと調べろよ」
…などと焦らせてしまう場面は往々にしてあるものです。

 

確かに、「効率よく仕事を片付ける方法」も技術です。
それを教えることも、「技術を授けている」と言えるのかもしれません。

 

しかし、「考える」技術を身に着ける機会を奪っていることもまた事実。
誰かを教育する役割を与えられたのであれば、時間が許す限り、
その人が「自分で考えて行動できる技術」を身に着けられることを
目標としてみてはいかがでしょうか。
それができれば、教育者としてはハナマルです??

国同士の援助においても…

「授人以魚…」という老子の言葉は、国同士の関係についても言えること。
「経済支援」の名の元に、金品を援助することも一つの形ですが、
本当に必要なのは、技術力支援です。

 

日本は、世界に先駆けて公害の問題を乗り越えてきた国。
そのため、エコの技術に関しては世界的に見てもレベルが高いのだとか。
それゆえ、近年は、発展著しい国々の公害対策について
技術的な支援を行っているのだそうです。
具体的には、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイ、中国…。
http://www.jemai.or.jp/tech/international/cooperation.html

 

これは、辛い時代を乗り越えてきた日本だからこそできる援助ですよね!