老子の言葉をわかりやすくお届けします

勝てる見込みのない戦いで勝つには?

勝てる自信はないけれど、どうしても戦わざるを得ない状況。
誰しも、そんな場面に立たされることはあるでしょう。
学校で、会社で、町内会で、PTAで、または家庭内で…。

 

そんな時は、老子のしぶとい生き方に倣いましょう!
基本的には「戦わない=不争」のスタンスを貫いていた老子ですが
どうしても戦わざるを得ない状況に置かれた場合には、
正面衝突ではなく、その逆の手を使って戦うのが良しと教えていました。

 

すなわち、(ちょっと乱暴ですが、現代風に解釈すると)

 

「相手を黙らせたいのであれば、まずは気が済むまで話させる」
「相手から奪いたいのであれば、まずはこちらかた与える」
「相手を押さえつけたいのであれば、まずは自由に泳がせておく」

 

つまりは、相手を油断させておいて、その“隙をつく”という戦術なわけです。
ある意味、しぶとい!(笑)。

 

しかし、確かに、力任せに戦っても勝ち目のない勝負なら、
しぶとい手を使って脇から攻めていくしかありませんよね。
そうすることで、自分自身のダメージを最小限に抑えることもできます。

あの『孫子』でも…

相手を油断させておいて意表を突き、
自分自身のダメージを最小限に留め、
それでいて確実に“勝ち”を持っていく。
老子ならではの、老獪でしぶとい戦略ですよね。

 

しかし、実は、あの『孫子』にも同じような教えがあるんです。
『孫子』といえば、古今東西の兵法書の中でも最もメジャーなもの。
現代でも、経営者の多くが愛読していることで知られています。

 

始めは処女の如く、終わりは脱兎のごとし。

 

…つまり、戦いの始まりでは弱々しくみせて相手を油断させておいて、
戦いの勝敗を左右する場面になったらすばやく攻勢に出て、一気に畳み掛ける。
これが戦いの基本だと記されています。

 

最初から全面対決をしないということは、
「その戦い自体の全体像を冷静に俯瞰しなさいよ」
というアドバイスでもありますよね。
始まりから最後まで全力勝負では、敵を分析する余裕もありませんし、
自分自身の体力・知力も消耗するばかりです。

 

その戦いに本気で勝ちたいと思うのならば、
「長期戦」を覚悟のうえでしぶとい戦術が必要不可欠なのでしょう。

人生、粘り勝ち!

老子の「大器は晩成す」という言葉にも表れているように、
大きなことを成し遂げるには時間がかかります。
言い換えれば、大きなことを成し遂げようと思うのであれば、
しぶとい粘り強さが必要だということですよね。

 

勝負ごとにおいても、これと同じことが言えます。
絶対に勝ちにいきたい!と思うのならば、焦って正面衝突するべきではありません。
まずは下手に出て、相手を油断させつつも、その隙を利用して
相手の強みも弱点も分析する。
そして、好機が巡ってきたら、一気に弱点をついていく…。

 

頭では、「なるほど、確かにそのほうが賢いやり方だな」と理解していても、
実際の場面では、頭に血が上って感情に任せた言動になりがち。
会社や家庭においても、ついつい相手の挑発に乗せられてカーッとなり
後になって後悔することって多いのではないでしょうか?

 

何事も、しぶとい人はやっぱり最後まで生き残れるものです。
「人生、粘り勝ち」とはよく言われますが、これは言い得て妙。
人生も勝負も、先に諦めたほうの負けです。